【名作再発見】泣ける笑える感動する『死神くん』

死神くん 1 (集英社文庫―コミック版) 【あらすじ】
死んだ人の魂を霊界へ誘う業務、死神であるNo.413号。これから出会う「死ぬ予定の人間」はみんなそれぞれの人生があり、その結末もまた様々。そんな彼らへ時に冷酷に死を告げ、時に死の運命にある人を救い、ヒューマニズムと死神との職務の間で常に揺れていた。
【みどころ】
『ついでにとんちんかん』という一つの歴史を作った「えんどコイチ」というビッグネームが本作を触れづらくしています。それでも私はこれこそ一度は読んでほしい作品と考えて紹介をしてみたいと思いました。
誤解ないよう先に解説するなら派手な要素がほとんどないシリアスな生と死を扱った物語です。絵柄は古く、良くも悪くも個性的、触れたことがないのに苦手意識を持つ人は少なくないでしょう。
基本一話完結の作品であり、どの話から読んでもその世界観に入り込めると思います。

本作の中心にあるのは常に人の「生」と「死」。事故で死んだ人、戦争で消えた命、望みを失い死を受け入れた人、他人のために自身の命を捧げた者。それぞれの理由で死を迎え、それぞれの理由で死を跳ね返したその物語は『ブラックジャック』に代表される医療もののそれよりもある意味ダイレクトに死に触れます。故に本作は常に「生きること」を全面肯定した、まさに「人間賛歌」。
例えばあるエピソードで、生きる希望を失った意識不明の親を起こしたい少年に、悪魔が三つの願いと引き替えに命をもらうという契約をします。少年は親を起こそうと願いを二つ叶えますが、親は生きる気力を戻しません。そんな少年が最後にかなえた願いは「ピーマンを食べられるようにする」こと。良い子になるから、好き嫌いしないから起きてほしい、そんな子供の命をかけた訴えについに親は目覚めます。そして結末は…

今はなき季刊誌フレッシュジャンプ83年6月号からはじまり、85年から開始し意図せず人気が出てしまった『ついでにとんちんかん』との同時連載も負担が大きかったのか、全8巻で終了しました。作者であるえんどコイチ氏はその後も『不可思議堂奇譚』『リトル ~神様修行中~(作画:小西紀行)』『END ZONE(月刊少年ジャンプ)全2巻』と上質な物語を多数執筆しています。人情ものは地味になりやすいため少年漫画には不向きかもしれませんが、心荒むような今の時代だからこんな作品で心を温めてほしいと思います

【作品データ】
・作者  :えんどコイチ
・出版社 :集英社
・刊行状況:全8巻(完結)

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