【名作再発見】政治の腐敗を鋭く穿つ問題作『アクメツ』

アクメツ 1 (少年チャンピオン・コミックス) 【あらすじ】
ある日、悪徳政治家を惨殺し、自身も死んだ仮面の男「アクメツ」。その事件から数日後、またアクメツを名乗る仮面の男が現れる。死んでも死んでも再び現れ、そのたびに悪徳政治家を道連れに死んでいくアクメツ。“アクメツ事件”と呼ばれるそれは日本の社会に衝撃を与え、やがてに国全体を巻き込む大きなうねりとなっていく……。

【みどころ】
政治について描いた漫画は決して少なくありません。しかし本作ほど現実的な問題に対して間違っている回答を堂々と立ち上げ、暴走を繰り返した作品は他にないでしょう。必殺仕事人をはじめとした「お仕置きもの」とも言える伝統的ジャンルを現実社会にぶつけた問題作、それがこの『アクメツ』です。

本作は田畑由秋氏と余湖裕輝氏によって、週刊少年チャンピオンの2002年43号~2006年17号(4月6日号)まで連載され、漫画として異色なほどの政治家の死を描いた作品となりました。

主役であるアクメツは、作中でも語られるようにテロ行為を堂々と行い続けます。やることは悪徳政治家の殺害と自身の死、曰く「一人一殺」。明るく人なつっこくハイテンションのアクメツは、ほとんど悲壮感もなく悪徳政治家と一緒に死に続けました。ビル上から政治家との同体転落、一緒にコンクリートを履いて海へのダイブ、わざとSPに撃たれながらの政治家殺害、一緒に自爆、一緒に生き埋め……おおよそ考え得る最悪の手段をもってアクメツは国に政治の是非、為政者のモラルを問います。

作中には実在する政治家も何人かモデルとして出ており、それ以上に実在する政治の問題点を触れづらい角度からえぐっていきます。誤解をおそれず評価しますと、本作は少年漫画として失敗作であり、政治漫画として極上作であり、お仕置きものとして最良作と言えるでしょう。

アクメツ自身、そして殺される悪徳政治家たちのどこにも正義はなく、誰も彼もが悪です。うかつに子供に見せるべき作品ではないかもしれません。しかし、分別をもった大人の読者ならアクメツの論理・死に様から「この日本を良い方向へ変えていくにはどうすべきか?」のヒントを感じ取れるかもしれません。

連載終了から5年以上が過ぎた今でも、いや、ますます社会が混迷している今だからこそ、一度は読んでおきたい作品です。

 【作品データ】
・作者/原作者  :余湖裕輝/田畑由秋
・出版社 :秋田書店
・刊行状況:全18巻(完結)

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