【名作再発見】熱血超絶テニス漫画『GUT`S』

Gut’s (1) (講談社コミックス (656巻)) 【あらすじ】
赤井 魔球磨(あかい まぐま)は、ひたすら速い球を打ち返すことに情熱を燃やす野球少年。ある日彼は今まで知らないほどの高速でボールが飛び交うスポーツ、テニスと出会う。テニスの奥深さに衝撃を受けた魔球磨は、類い稀なる運動神経をフルに活用してプロテニスプレイヤーとなり、世界を目指して突き進むのだった……。

【みどころ】
古今東西様々なスポーツ漫画がありますが、その中でもテニス漫画は安定した人気をもつジャンルといえるでしょう。原点にして不朽の名作である『エースを狙え』をはじめ、『LOVE』『テニスの王子様』『燃えるV』『翔の伝説』など、有名作家の手がけたタイトルは数知れません。そのなかで今回とりあげたいのは、知る人ぞ知る熱血テニス漫画・風童じゅん氏著『GUT`S』です。

『GUT`S』は月刊少年マガジンで1998年6月号から2003年12月号まで連載されたテニス漫画で、ハッキリいえばそのノリと内容は“荒唐無稽”の一言。例を挙げるなら、コートに着地した瞬間、10メートル以上の高さまで跳ね上がり、場外までボールが出てしまう「UTS」、銃弾と同じ回転をかけながらも直進し、コートについた瞬間ほぼ直角に曲がる「リボルバー」などなど……。

はっきりいって理屈はわかるが現実に絶対できないと思わせる魔球は、リアル主義の人にはあまり受けが良くないかもしれません。でもその根底にあるのは暑苦しく熱血で、スタイリッシュではないけど胸を躍らされる、そんな読後感のいい良作です。

また、本作品は作者の風童じゅん氏の絵柄も手伝い、ちょっと見ただけでは絵がかわいらしすぎて熱血という言葉に違和感をおぼえる人かもしれません。でも、だからこそじっくり読んで魔球磨とその親友渋谷との二人の成長をわくわくしながら読んでほしいところ。

テニスは実際に魔球と言えるほどの変化をすることも珍しくなく、ある意味で魔球だらけの本作はテニスというスポーツの一側面をとらえているとも言えます。コミックスの巻末には本当にためになるテニス講座もついているので、テニスに興味を持ったら少し読んでみてほしい隠れた名作です。

【作品データ】
・作者  :風童じゅん
・出版社 :講談社
・刊行状況:全17巻(完結)

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