“解体屋”の女子高生を描いた衝撃作『ギフト±(プラスマイナス)』

【あらすじ】
女子高生の環(たまき)は、少し感情表現に乏しい以外はごく普通の少女。だが実は彼女には、生きる価値のない凶悪犯罪者などを切り刻み、臓器を裏ルートに流す「解体屋」という裏の顔があった。大切な命をたくさんの移植希望者に再分配するため、そして“ある人”ともう一度会うために――環は刃を振るい続ける。

【みどころ】
現実世界のニュースでもしばしば報じられる、凶悪犯罪者の人間とは思えない所業。それに対し、「こんな奴どうせ刑務所でも更正しないんだから殺してしまえばいい」と怒りをあらわにするネットユーザーは少なくない。もちろん実際は極悪人にも人権があるため裁判で公正に罪状を判断するわけだが、もし「殺してしまえばいい」を本気でやったらどうなるのか……? そのタブーに挑んだのが本作だ。

作中に出てくる悪役キャラは、本当にどうしようもない、更正など想像できないレベルで壊れている。強姦殺人の服役が終わったその直後に嬉々として再犯する男、快楽のためだけに何度も出産して我が子を殺す母親、友人を騙して金持ち相手の殺人ショーの生け贄にする少女……彼ら彼女らは密かに連れられ、環の手によって臓器パーツ単位で“解体”される(ごくまれな例外を除いて当然死亡する)。

環はどんな大人よりも解体がうまく、また、自身にも心臓移植の手術跡があるなど、なにかと「臓器」と縁が深いキャラクターとして設定されている。生死に関わる価値観もユニークで、犯罪者を生きたまま(麻酔なし)切り刻むことに躊躇も嫌悪感もない。ただ「大切な命を再分配する」「人助け」として行動しているのだ。そんな環の周囲には、彼女自身が再会を強く望んでいる闇医者や、悪党の身柄確保・情報収集に力を貸す仲間など、個性的な人々がいてストーリーを盛り上げている。

内容が内容だけにエロ、グロ、スプラッタなんでもありな描写で読者を選ぶが、「命の重さ」という漠然としたものについて改めて考えさせられる深みがある。機会があればぜひご一読いただきたい。

【作品情報】
・作者:ナガテユカ
・出版社:日本文芸社
・刊行状況:3巻まで