『美味しんぼ』原作者が連載完結を表明(※追記あり)

1980~90年代のバブル期前後にブームを巻き起こし、多くのフォロワー作品を生んだ料理漫画の傑作『美味しんぼ』。2014年に主人公が福島原発へ取材に行き鼻血を出すシーン、いわゆる“鼻血問題”でマスコミを騒がせたことはまだ記憶に新しい。

それ以来しばらく休載という形で連載をストップしていた本作だが、原作者・雁屋哲氏が3月22日に自身のブログを更新。その中で『美味しんぼ』について「そろそろ終わりにしたい」「大団円」などと記して完結を強く匂わせている。

書く題材が尽きたわけでも、(鼻血問題に関して)どこかからの圧力に屈したわけでもないとしており、完結の明確な理由は語られていない。だが昨年末から現在にかけて骨折や悪質なカゼで体調を崩していたこと、そして「いくら何でも連載30年は長すぎだ」と書かれていることなどから、本人にしか分からないモチベーションの減退、衰えなどがあったのかもしれない。

過激な描写でたびたび物議をかもしてきたが、安直なグルメブームを否定し“食の本質”に迫ろうとした『美味しんぼ』が漫画界に、ひいては社会に与えてきた影響と恩恵は計り知れない。白熱する料理バトル、社会への鋭い問題提起、心温まる人情ドラマ、何よりも海原雄山と山岡士郎の“親子の確執”を30年かけて描ききるなど、作品単体としてもまさに金字塔と呼ぶに相応しい完成度だ。

雁屋氏によると「大団円」を描く実質的な最終パートの掲載については、ビッグコミックスピリッツからの発表を待っていただきたい、とのこと。一体どのような形で物語の幕を閉じるのか、引き続き注目していきたい。


(追記)
2日後、反響の大きさに驚いたのか雁屋氏はブログを更新。その中で「あくまで“もし終わらせるなら”という仮定を書いただけで、まだ編集部とは何も具体的な話をしていない」ことを述べた。今回の件はネット住人を大いに騒がせたが、連載再開&完結エピソードはまだ先のことになりそうだ。