【あらすじ】
世界が核の炎につつまれた後――人類は滅びてはいなかった。これはファンキーでナイーブな聖帝・サウザーが、ケンシロウたちを巻き込んで繰りひろげる『北斗の拳』の外伝ギャグ漫画である。
【みどころ】
27年前に連載終了しながら、いまだ根づよい人気を誇る名作バトル漫画『北斗の拳』。現在、その外伝作として注目を浴びているのが『北斗の拳 イチゴ味』である。
原作でケンシロウを大いに苦しめたライバル、聖帝サウザーが主人公。彼を中心にリンとバット、ラオウやトキなど主要キャラたちが登場する。中には時系列的におかしいキャラ(サウザー編では登場すらしていなかった)なども紛れ込み、まさにカオスなキャスティングだ。
絵柄はシリアス調だが、中身はとにかくフリーダム。原作屈指の感動シーンである“シュウの死に際”すら腹筋が崩壊するギャグシーンに改変された。サウザー自身も傲慢で苛烈な原作の性格に加え、「実はドジ」「寂しがりや」「臆病」「ノリがいい」などギャグ補正が重なって大変なことになっている。しかし原作への深いリスペクトが随所に見られるため、旧来のファンから見ても不快なところはない。むしろ「こんなイキイキしてるサウザー様が見られるとは!」と喜びたくなるほど。
現在はTVアニメ版も放送中であり、視聴者からの評価は高い。『北斗の拳』オリジナルキャストの銀河万丈さんが『イチゴ味』でも同じサウザー役を務め、ギャグシーンを楽しげに演じているところは必見。原作と旧アニメ版で問題になった残虐描写がカットされていることもあり、幅広い年代から新たな『北斗の拳』ファン層を獲得できそうだ。
【作品情報】
・原案:武論尊・原哲夫 シナリオ:河田雄志 作画:行徒妹
・出版社:徳間書店〈ゼノンコミックス〉
・刊行状況:4巻まで(続刊)