【あらすじ】
中学生の頃、ふとしたきっかけで主人公・日向翔陽(ひなた・しょうよう)が見た高校バレーボールの試合。そこには「小さな巨人」と呼ばれるエースがいた。彼に憧れてバレーを始めた日向だったが、素人を寄せ集めてなんとか出場した公式試合では当然初戦敗退。そこで出会ったいけ好かないセッター・影山飛雄(かげやま・とびお)と高校で再会し、ライバルのはずが同じチームに。しかしまったく気の合わない二人は、主将の澤村大地(さわむら・だいち)から、コミュニケーションが取れるようになるまで部活禁止という制裁をくらう。果たして日向たちは?!
【みどころ】
初めは不仲な日向と影山が、徐々に打ち解けて──はいかないが、「コートの王様」と呼ばれた孤高のセッター・影山と、低身長なのに無駄に体力だけはある日向は、バレーのプレー中だけは好相性。「変人速攻」なるものを編み出し、チームの勝利に貢献する。「エース」の東峰旭(あずまね・あさひ)や、「守護神」の西谷夕(にしのや・ゆう)など、異名を持つ個性的な選手の中で日向に付けられたのは「最強の囮」。派手な動きで相手の意識を持って行き、警戒させるのが役目だが、もちろん日向は持ち前の身体能力で、文字通りコート中を走り回る。
この作品は、顧問の武田先生がバレーを知らないので、OBや監督、控え選手たちが自然に説明を加えてくれる。ゆえに読者としても、バレーのルールを知らなくても、自然と理解できるように工夫されているのだ。日向と影山のコンビでしかできない「変人速攻」ではあるが、ボールが消えたり、ありえない方向に曲がったりはしない。あくまで日向のずば抜けた身体能力と、影山の天才的なトスによって必殺技ができるので、ご都合主義な部分がなく、バレーというスポーツを身近に感じることができるだろう。
選手たちも各々個性的で、ライバル校も負けてはいない。そしてバレーの試合だけではなく、キャラクターごとのエピソードや合宿、試験なども描かれているので、きちんと学園モノでもある。試合中はシリアスな場面が多いが、普段はほんわかふんわり、ドタバタギャーギャーと、コメディ的な要素も豊富なので、決して熱血スポ根マンガには偏り過ぎないのだ。なのでとても読みやすく、時に笑い、涙することもあるだろう。
今後は舞台化も発表されているので、そちらでもどのような物語が紡がれるのか、非常に楽しみである。原作8巻までがアニメ第1期で描かれたので、第2期は9巻からのスタート。新しいマネージャーも入り、チームのプレースタイルもどんどん進化していく烏野高校排球部から、まだまだ目が離せない!!
【作品データ】
・作者:古舘春一
・出版社:集英社
・刊行状況:1〜18巻(以下続刊)