年の差28歳だけど正統派ラブコメ!『恋は雨上がりのように』が累計30万部突破

【あらすじ】
足のケガで陸上の夢を断念した女子高生・橘あきら。彼女はバイト先のファミレス店長に恋心を抱いていた。そのお相手、近藤店長はなんと45歳。しかもバツイチ子持ち、加齢臭を漂わせ円形のハゲまである。美少女と冴えないオヤジ、年の差28歳の純情な恋は実るのか――?

【みどころ】
ハーレムものや異世界ものがあふれかえる近年のラブコメ界に、異色の一作が登場した。年の差もさることながら、「第1話の時点でもう少女がオッサンに恋焦がれている」という設定は驚きだ(いちおう惚れた経緯は後で語られるが)。この一途な純情に対して、いろんな意味で枯れまくった中年男性の近藤がどんな言葉を返し、何を感じ、どう変わっていくかが本作の見どころと言っていいだろう。

物語はあきらのエリアである学校、近藤のエリアである自宅アパート、そして二人が揃って働くエリアのファミレス、およそこの3ヶ所で進行する。ストーリーが大きく動くのは1巻の終盤、あきらが勇気を振り絞って「あなたのことが好きです」と告白する場面。そこからは近藤の態度も変化していき、ぎこちない会話やデート、ちょっとした感情の行き違いなど、ラブコメらしさが加速する。

リアル人生において“1まわり以上離れた若い女性から告白される”というシチュエーションはある意味、20代後半以降の男性にとってロマンかもしれない。だが、本作で「なんで俺なんかを好きに?」「今さら変われるほどの勇気もエネルギーもないよ」と戸惑い、懊悩する近藤の姿を見ていると、これはこれで相当に大変なことだと感じさせられる。それでも猛烈なアタックを続けるあきらに、この先の近藤が見せるであろうアクションから目が離せない。

設定こそ奇抜だが読んでみると心情描写がとても自然で、違和感はない。むしろこれ以上ないと言って良いほど正統派ラブコメだ。作品タイトルの通り、重要なシーンには必ず「雨」が絡んでくる演出面もすばらしい。

単行本の売り上げは小学館の予想を超えていたのか、1巻発売時から異例の大重版がかかり、3巻の時点では累計30万部を突破したという。実写向きの要素が多いことから、将来的にはドラマ化なども期待したい。

【作品情報】
・作者:眉月じゅん
・出版社:小学館
・刊行状況:3巻まで(続刊)