日本の姿を世界に発信する「海街diary」

今年のカンヌ国際映画祭に、是枝裕和監督の『海街diary』が出品された。原作漫画を描いたのは吉田秋生。第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ大賞2013で大賞を獲得するなど、各方面から高い評価を受けている実力派である。

舞台となるのは鎌倉。幼い頃に両親の離婚を経験した香田家の3姉妹が、父の死をきっかけに異母妹・浅野すずを引き取って一緒に暮らすようになる。見どころは4人の姉妹がそれぞれ葛藤を抱えながら、前向きに生きる姿だ。カンヌ映画祭の常連である是枝監督がなぜ『海街diary』を原作に選んだのか。それは恐らく本作が現代の希薄化されつつある“家族関係”を主題に置いているからだと推測できる。是枝監督は家族をテーマに作品の発表を続けており、本作の世界観はピタリと当てはまる。

長女の香田幸は、看護師として勤務するお節介焼きだが芯の強い女性。次女の佳乃は、信用金庫で働く大酒飲みOL。三女の千佳は、アフロヘアーが特徴のマイペース女子。四女のすずは、サッカー好きのしっかりもの少女。一見どこにでもいそうな姉妹が繰り出すリズムは、親しみやすく生活感も感じさせる。恋あり、仕事あり、生活ありの女性の生き様の中で、いつも支えとなる家族の存在を、ナチュラルに描ききった構成力は秀逸だ。

映画では長女を綾瀬はるか、次女を長澤まさみ、三女を夏帆、四女を広瀬すずがそれぞれ演じる豪華キャスト。美しい鎌倉の歴史ある街並みと、海を背景にした描写にも注目が集まる。クールジャパンという言葉が定着して久しい現在、本作の世界へ向けた表現方法は、どこか古めかしくもあり、それでいて最先端でもある気がするのだ。

【作品情報】
・作者:吉田秋生
・出版社:小学館
・刊行状況:6巻まで