西炯子原画展01

西炯子が描いた「男」たち!『金・銀・パール』の原画展、開催中

西炯子ドローイングス 金・銀・パール イラスト集『西炯子ドローイングス 金・銀・パール』が、5月25日に新書館から発売された。それを記念して、有隣堂ヨドバシAKIBA店では西炯子の原画展が開催されている。

『西炯子ドローイングス 金・銀・パール』は、西炯子が25年にわたって描きに描いた、80人の「男」たちを集めた画集。“昨日の少年、明日のおっさん” をキャッチコピーに、繊細な感情を秘めた高校生から、ふてぶてしさを押し出すことに成功した兄ちゃんたち、果てはヒトガタ作りが趣味の美形ご隠居までが、乱舞していて悩ましい。

初回版には、単行本未収録作品『イヤンバカン』80ページを収録した小冊子が付いてくる。『イヤンバカン』は、その昔「ウィングス」に2回だけ連載されたマンガ。

当時(1992年)の「ウィングス」は、すでに創刊時の男性作家メインのSFマンガ誌から様変わりして久しく、高河ゆん、CLAMP、片山愁、押上美猫、高橋冴未などが連載をもっていて、同人誌出身の女性作家が描くファンタジー色の強いマンガ誌になっていたが……さすがにアカンかったんやろな、としみじみ思ったものだ。めちゃ続き読みたかったんだけどね。20年近くたった今、また出会うことができたのは幸福なことです。

西炯子原画展
■期間:2011年5月30日(月)~6月26日(日)
■場所:有隣堂ヨドバシAKIBA店コミックコーナー

西炯子原画展01

さて原画展であるが、展示されているのは『金・銀・パール』から選りすぐったカラーの生原画だ。期間中に入れ替えられる分を含めて、総数は27点。初期作品の『天使にならなきゃ』『水が氷になるとき』から『三番町萩原屋の美人』、さらには『ひらひらひゅ~ん』といった最近の作品まで様々。

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最初の単行本『天使にならなきゃ』のカバーは、画用紙にサクラ水彩絵の具で描かれている。『ひらひらひゅ〜ん』カバーはコピックとのこと。ゼロ年代から2010年にかけての絵柄は安定しているが、さまざまな手法に挑戦していて面白い。

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下描きと一緒に展示されている原画もある。小説ピアスの表紙絵は、編集部の人に「ガチですね」と言われたとか。小説Juneのピンナップは「日本男児、世界で迷子。」シリーズ。有隣堂ヨドバシAKIBA店の担当さんによると、最近のカラーは、最初からCGで描かれることも多いので、画材を使って描いた作品が却って貴重に感じるのかもしれないとのこと。…ところで、『ひらひらひゅ〜ん』の足袋がやっぱエロいですよね。

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じっくり見ていくのは30代以降の女性が多いという、この原画展。もともと「昔のJune時代の絵が見たい!」という声が上がっていたそうだ。そんなワケで、おタケさんで(ほぼ)まとめてみました♪

感受性豊かな時期に、西炯子のセンシティブな作品に触れることができて嬉しい……と客観的に思えるほどには、距離が出来てしまったのかもしれない。しかし今でもページを開けばすぐ当時に飛んでしまうので、さほど成長もしていないんだろう。…なんだかなあ、とセンシティブになってみたり。

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もちろん原画展示の下には、コミックスが平積み。最近は、初期作品も入った『太陽の下の17歳』や、お蔵出し作品集『西炯子のこんなん出ましたけど、見る?』も刊行されている。

個人的におススメは、『西炯子のこんなん出ましたけど、見る?』に掲載されている『ちるちる!』。ヤングサンデーで連載されていたこの作品、Hが気になる小学生男子のあきみくんと、悟り切った女子あゆみさんが主役の4コママンガだ。男子にも面白い1冊だと思うので、いかがですか?

■発売記念サイン会

なお6月5日(日)には、発売記念サイン会がおこなわれた。西さんはファンひとりひとりに、時間をかけてサイン。やはり女性が多くコアなファンもいたようだが、気さくに言葉をかわし、サイン会はかなりの盛り上がりをみせたとのこと。この時描かれたイラスト入り色紙が、有隣堂ヨドバシAKIBA店に飾ってあるそうなので、それも要チェックだ!

西炯子原画展09

また公言どおり、著者からのプレゼントの抽選があったそうだ。カラーンカラーンという鐘が鳴り響くなか、金・銀・パール3種のアクセサリーが贈られたらしい。ううむ、やはり心のBGMは「嬉しい白で~す~…金・銀・パール プレゼント♪」だったのでしょうか、西さん!?

(取材・文:赤江汐貴/写真:浜田六郎)

【関連サイト】
有隣堂
新書館

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