『めだかボックス』の原作や『物語』シリーズでお馴染みの西尾維新氏が、すべて新作で原作を手がけた、規格外の短編漫画集がとうとう単行本になって登場した。『週刊少年ジャンプ』、『ジャンプSQ.』、『週間ヤングジャンプ』、『別冊マーガレット』と、集英社発行の人気雑誌をまたいでのこの企画。漫画担当陣も豪華な顔ぶれで、すべてのカラー扉を収録したピンナップ付き!これは見逃せない一冊だ!
【みどころ】
まずは作品名と担当漫画家、軽いあらすじを挙げよう。
・『娘入り箱』(暁月あきら):不良の兵太郎がどしゃぶりの雨の中、どうしても置いて行けず拾ってしまったのは、「拾ってください」と書かれた段ボール箱に入っていた少女だった!
・『RKD-EK9』(小畑健):天国が存在することが証明された世の中だが、そこへ行くには膨大な「善意点」が必要だった。そこへ天国へ行く薬を発明しようとするが……?
・『何までなら殺せる?』(池田晃久):小さな虫なら平気で殺せる、魚には少し抵抗があるが、両生類よりはマシ……そうして行き着いた、「殺せる」対象は──?!
・『ハンガーストライキ!』(福島鉄平):特殊能力が織り込まれた空手道着で戦って、無敗の突子。しかし、つぎはぎだらけの道着の炭長と戦うことになり……?!
・『恋ある道具屋』(山川あいじ):意中の女の子に付けさせることができれば、恋が成就するという悪魔の指輪。失敗すれば忌み嫌われる──。島根はタイミングをはかっていくが?
・『オフサイドを教えて』(中山敦支):サッカー部を引退した伊島に、突然押しかけて「オフサイドを教えて!」という、サッカード素人の大房。しかし彼女にはどうしても理解したい理由が……。
・『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』(中村光):十二大戦に勝ち残ってしまい、たったひとつだけ願いを叶えられることになった寝住。しかしどうしてもそのたったひとつが思い浮かばずノイローゼ直前に!
・『僕らは雑には学ばない』(河下水希):「カバの汗ってピンク色らしいですよ」という助手子の言葉で、博士先輩とそれを確かめに行くハメになる。インターネットで調べれば何でもわかる世の中に、石を投げる作品。
・『友達いない同盟』(金田一蓮十郎):「友達いない同盟」を作った五十嵐と百本。どうでもいいことを話し、寝たフリで昼休みを過ごし、友達にならないことが条件という不思議な関係が描かれる。
単行本は「JUMP COMICS SQ.」で発行の大判。どの作品にもお題が設けられており、カテゴリわけするなら「いい話」、「怖い話」、「シュールな話」がある。特に唯一少女漫画誌掲載の『恋ある道具屋』は、雰囲気が良いラブストーリーに仕上がっている。また、『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』に出てきた『十二大戦』は5月19日(火)に中村光氏のイラストレーションで「JUMP J BOOKS」から小説が発売される。こちらも楽しみだ。
様々な漫画家にコミカライズされているが、西尾維新色は褪せることがなく、また漫画家の個性もあいまって、非常に素晴らしい作品集になっている。原作者ファンはもちろん、参加漫画家ファンにも楽しみな一冊だ。ぜひ手にとって通しで読んで欲しい。
【作品データ】
・作者:原作/西尾維新 漫画/暁月あきら・小畑健・池田晃久・福島鉄平・山川あいじ・中山敦支・中村光・河下水希・金田一蓮十郎
・出版社:集英社
・刊行状況:全1巻