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第15回 手塚治虫文化賞 贈呈式レポート【中編】

■【レポート2】 新生賞・短編賞受賞者のあいさつ

【前編】に引き続き、手塚治虫文化賞受賞者スピーチの様子をお伝えする。

マンガ大賞受賞者に次いでステージへ上がったのは、新生賞の荒川弘……ではなくアニメ『鋼の錬金術師』で主人公を演じた声優・朴ろ美(ろは王へんに路)氏だった。荒川氏は出産を控えた身で出席を見合わせたとのことだ。

『鋼の錬金術師』のエドワードや『∀ガンダム』のロランといった元気な少年役のイメージが強い朴氏だが、この日は落ち着いた雰囲気の衣装で登場。「今朝も荒川先生から“息子のエドをよろしく頼みます”とメールをいただいた」と明かし、預かった手紙を読んだ。

 手紙の中で荒川氏は、今回の受賞者それぞれの作品や作風について賞賛し「いち読者として楽しませていただいた先生方と、今こうして漫画家として並んで賞に名前を残す現実は、なんとも不思議な、そして畏れ多いのひと言」と気持ちを語った。

自身の連載デビュー作であり9年の長期連載を終えた『鋼の錬金術師』については「私の現実、主人公たち。ともに“遠いところに来たなぁ”とあらためて実感している」と変化を感じる一方で「子供のころから持っている“漫画大好き!”な心は変化させることなく精進していきたい」と今後の抱負を聞かせてくれた。

手紙の最後にはややムチャ振り(?)とも思える指示があり、ステージ上で朴氏がエドになりきって「この作品に関わってくれたみんな、何より9年もの長い間、オレたちの旅を見守ってくれた読者のみんな、本当にアリガトな!」と元気な声を響かせた。会場にいた『ハガレン』ファンにとっては思わぬサプライズになったことだろう。

会場が沸いたところで、短編賞の山科けいすけ氏が登場した。夫婦揃って手塚治虫文化賞を受賞(妻の森下裕美氏は2007年に)というのは、おそらく初の快挙ではないだろうか。

冒頭から山科氏は「私は漫画を読むほうは好きなんですが、描くほうは嫌いでして」と話し、来場者から笑いを誘った。さらに「デビュー以来ずっと描くのがイヤでイヤで。こんな仕事早く辞めたいと」「こんなに自分に向いてない仕事はないなと」など独特のローテンションで畳みかけるような自虐発言が続いた。

今回の受賞についても「手塚先生の名を冠した、しかも“文化”という言葉を使った、これまたまったく自分に向いてない賞をいただくことになりまして……向いてない仕事で向いてない賞をもらう。ちょっと漫画的だなぁ」と話を展開。自身をネタに授賞式のスピーチまでギャグに昇華してしまうセンスで、先の朴氏とは違った意味で来場者を楽しませてくれた。

なお記者が見た限り、山科氏のスピーチで一番笑っていたのは他でもない、同じ壇上にいる村上氏だったことを付け加えておこう。

→ 【後編】に続く

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